現代人必読の書
生きるヒントがここにある
『正法眼蔵』は、たんなる知識ではなく、実生活を生き抜く知恵を語っている
道元の言葉が、力強く生きることを気づかせてくれる
今日、世は二十一世紀だ、グローバルだと威勢がいいようだが、誰でも知っている。人類の涯しない行方に何が待っているか。それは不安にみちた「痛み」の世界ではなかろうか。いま、独りひとりの心の奥を見つめれば人皆、老いも若きも「いやし」にうえている。そんな時、五十年の昔に出逢った道元の言葉がすべてを放下して、私ばかりではない、人々の心に今を生ききることを気づかせてくれる。
もちろん『正法眼蔵』は難解である。しかし、そこが不思議なのである。この九十巻に及ぶ大著が、まるで稲妻のように、私たちの身心をつらぬくのである。(「文庫判のためのまえがき」より)
私たちは人間関係でつまずいたとき、愛情が失われたとき、はじめておのれの孤独に気づいて、愕然(がくぜん)とするものです。そんなとき、道元の「身心脱落(しんじんだつらく)」という言葉がきらきらと輝きだすのです。