〈近代日本が進むべき道はこれだ!〉慶応3年(1867),徳川昭武(あきたけ)の随員として渡仏した渋沢栄一が現地で見たものは,“人間愛の理念”に裏打ちされた資本主義社会であった。渋沢が終生にわたって標榜した「士魂商才」「論語(道徳)とソロバン(経済利益)の一致」の思想は,この時萌芽したといえる。帰国後の渋沢は新国家建設に邁進した。大蔵省の組織改革,株式会社・銀行の設立と育成,さらに社会福祉,教育,国際交流…。渋沢にとって私利は即ち利他(他を利する=利益還元)であり,一貫して公益の追求者であった―。歴史評伝の第一人者が,独自の視点から“日本資本主義の父”の生涯をたどり,失速した現代日本再生への指針を示す快作!